雅秀は光長と一緒に沖田が案内する部屋まで歩いていった。
「営業部はここです。仕事が終わったら研究棟まで来ませんか?おもしろいものお見せしますよ」
光長はそう言われて雅秀の顔を見る。雅秀は少しだけ不満そうな顔をしていたが特に予定は詰まってはいない様子だ。
「いいですよ。是非見てみたいな」
「そうですか?森本さんはどうしますか?」
「俺はこの後、支社長と話があるから、風間だけ頼む」
「えっ・・あの」
「お前はいい、支社長と約束したのは俺だから」
光長が慌てて雅秀にそう言うと、珍しく雅秀は光長を自由にしてくれた。
だが雅秀が沖田に向けた視線は鋭かった。
「はい、大丈夫ですよ。僕は支社長よりは安全ですから」
沖田は笑って「それじゃあ、後で迎えに来ます」と軽くお辞儀をすると出て行った。
沖田が去ると雅秀は廊下の隅にあった給湯室に光長の手首を掴んで引っ張っていく。
「おいっ」
光長は狭い給湯室で雅秀の腕の中に納められて慌てた。
「お前、あの男に色目なんか使ってやがったな」
「なっ・・ちょ・・」
雅秀は光長のスラックスの隙間に手を入れて尻を直に触れられた。
「んっ・・よせっ・・こんなところで」
誰かに聞かれてはいけないと光長は声を低くして抵抗する。
だが雅秀は耳元で囁いた。
「ふん、こんな状況だとお前は興奮するくせに、淫乱」
「やっ」
雅秀の人差し指が光長の蕾にねじ込まれる。
「ん・・・」
「ほら、感じてるじゃねえか」
光長の唇を雅秀の唇が塞いだ。
雅秀の荒々しい舌が生き物のように光長の口の中を舐め取っていく。
同時に蕾の中に入れた指を動かされて光長は雅秀の体を思い切り突き飛ばした。
ガタンッ!と大きな音を立てて雅秀が給湯室の床に倒れ込んだ。
「痛てっ!」
物音を聞きつけて足音がこちらに近づいてくる。
光長は慌てて給湯室から逃げ出した。
<「弦月」支社にて3へ続く>
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